歯科医が教える!こうなってからでは遅い口臭の原因や対策を解説

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口臭がしているとわかると、とても気になって何とかしたいものです。しかし、意外とそれまで自分の口臭があることに気が付かないということもあります。その場合、自分の口臭に気が付いたら頃には、とんでもないことが口腔内で起こっていることがあります。今回はこのような危険な口臭の原因と対策について説明します。

危険な口臭

・口臭の原因は、歯周病や虫歯などの口腔内の病気に原因があるものと、糖尿病や肝疾患、腎障害、消化器系の異常などの全身疾患に問題がある場合に生じる口臭がほとんどです。これらは【生活習慣病】と呼ばれるものです。そのため、口臭は生活習慣病のバロメーターの1つととられてもよいでしょう。口臭が異常なほどする場合では、生活習慣病が進行している場合もあり得ます。とくに、歯科医院では口腔内を必ず見る現場です。様々な口臭に遭遇する機会があります。

歯科医院で遭遇する危険な口臭

・歯科医院で遭遇する危険な口臭の代表例として、かなり進行した歯周病が原因での口臭があります。また、重度の喫煙者では歯周病が進行していることも多く、またタバコの有害物質による影響での口臭も酷いものとなります。口腔内の歯のほとんどに詰め物や被せ物がしている方で、口腔内が不衛生で二次的に虫歯になっている方も危険な口臭の1つとして考えられます。そのほかには、パーキンソン病や認知症、悪性腫瘍などの場合で生じた口臭も危険な口臭といえます。

進行した歯周病

・歯周病の原因は、プラークと歯周病病原細菌です。歯周病病原細菌が含まれたプラークが歯に付着し、プラーク中の歯周病病原細菌が歯周組織に感染して炎症を引き起こします。歯周病病原細菌は酸素が無いところでの繁殖を好みます。そのため、進行した歯周病では歯を支える歯槽骨が著しく吸収されてしまいます。そうなると、歯と歯茎の間に大きく深いポケットが生じます。この環境がより歯周病病原細菌が好むところとなりより繁殖しやすくなります。進行した歯周病の治療はかなり難しくなり、その多くの選択肢が【抜歯】となります。進行した歯周病で抜歯すると、ドミノ倒しのように次々に抜歯となることが多いです。そのため、進行した歯周病は危険なのです。そして、その時生じる口臭も通常の歯周病での口臭よりも酷いことが多いです。

やめられない喫煙

・喫煙している方の口臭はしていない方の口臭に比べると強く感じられます。そして、進行した歯周病の多くの方の喫煙する習慣があり、進行した歯周病の口臭はより強くなります。喫煙している方では、喫煙していない方に比べると歯周病がより進行しやすい傾向があります。タバコに含まれる様々な有害物質に原因があります。タバコに含まれる化学物質はおよそ4000種類もあり、その中でも体に有害である化学物質は約200も含まれ、発がん性も50種類以上もあると言われています。その中には、ヒ素、トルエン、カドミウムといった明らかに有害な物質があります。その中でも、タバコに含まれる有害物質で口腔内に悪影響なものとして【一酸化炭素】、【ニコチン】が挙げられます。

一酸化炭素は、血液中の赤血球のヘモグロビンと非常に結合しやすいという特徴をもちます。ヘモグロビンは通常酸素と結合して、体中の組織へ酸素を供給する大変重要な仕事があります。ヘモグロビンに一酸化炭素が結合してしまうと、体中に酸素が供給されなくなります。口腔内では歯肉などの歯周組織への酸素供給がされなくなるため、歯周組織はうっ血してしまい、萎縮、壊死などの症状を引き起こしやすくなります。

タバコに含まれるニコチンは、非常に強い中毒性を持ちます。そのため、一度喫煙する習慣を身に付けてしまうと、なかなかタバコを吸うことをやめることが出来なくなります。タバコをやめられないということは口臭が酷いままで、さらには様々な健康被害を憎悪する原因となります。

その他の原因

・その他の酷い口臭がする原因として、パーキンソン病や認知症が挙げられます。このような疾患になるとしっかりとした自分の意思で口腔内の清掃を行う事ができなくなります。そうなると、清掃を補助してくれる方がいなければ、口腔内は清掃不良となりプラークや歯石だらけとなります。

・酷い口臭の原因の1つに悪性腫瘍があります。悪性腫瘍が進行してくると、口臭がどぶ臭いようなものとなります。とくに、消化器系の悪性腫瘍の場合、腸内フローラのバランスが失われ、その影響で酷い口臭が生じます。

それでも改善できる方法とは?

・かなり進行した歯周病や重度のヘビースモーカーでニコチン中毒の方の治療となると、口臭を減少させたり、改善させることはかなり難しいケースになることが多いです。進行した歯周病では、歯を支える骨の吸収が著しいものとなるため、歯周組織の改善を図るとともに、噛み合わせや咬合力などの様々なことを熟慮し、治療していかなければなりません。そのため、治療する技術や経験、知識が大変重要になります。術者により治療成績に差がかなり生じやすい物となります。また、ヘビースモーカーの禁煙治療も一度禁煙が成功しても、また喫煙してしまうことも多い為、なかなか禁煙治療が完全に成功させることは難しいです。

歯周病の治療(とくに歯周外科治療)

・進行した歯周病の治療は、スケーリングやスケーリングルートプレーニングで、肉眼で見える部位の感染源を徹底的に除去していきます。さらに歯周外科処置を行い歯周組織の改善を図り、歯周病の炎症を抑え、安定させます。

歯周外科処置の最近の傾向として、【歯周組織再生療法】を行うことが多くなりました。歯周病で失われた歯槽骨を、人工的な骨補填材料を用いて回復させるといった治療方法です。例えば、【GTR(歯周組織再生誘導法)】という治療では、進行した歯周病の歯の歯茎を切開して、感染された歯石や不良肉芽などの組織を取り除き、失われた歯槽骨のスペースに人工骨を補填するという方法です。全てのケースに適応できるわけではありませんが、以前の歯周組織再生療法よりも治療成績がかなり良くなりました。さらに、保険適応の再生材料も増えたので、選択肢が増えたことも治療成績に影響していると思います。このように歯周病で失われたスペースを再生させることによって、細菌が繁殖しやすい環境を減らすことで、口臭の原因を減少させることができます。

歯科矯正

・歯並びが悪いと、プラークコントロールが悪くなりやすいため、歯周病や虫歯になりやすいというリスクがあります。また口呼吸を誘発する原因ともなり、さらに歯周病、虫歯のリスクが上昇します。そのため歯並びを矯正治療によって改善して、口腔内の清掃をしやすくなり口腔環境の改善を図ることが可能になります。そうすることにより、咬合も以前より安定し、歯周病や虫歯になりづらくなります。そうなれば、口臭も必然的に減少させることが可能になります。

インプラント治療

・とりかえしがつかなくなって、治療の施しようが無くなった歯は抜歯が適応となる場合がほとんどです。抜いてしまった歯はブリッジや義歯によって補う方法がありますが、歯周病が進行して抜歯した場合、他の歯も同様にかなり状態が悪い場合多いです。そのような歯に負担をかければ、さらに抜歯する可能性が増えます。それを防ぐ手段として、【インプラント治療】があります。抜歯した歯の変わりに骨にインプラントを植え込み新たに歯の変わりとして機能させます。インプラントによってブリッジや入れ歯のように残っている歯に負担をかけなさせないという利点があります。ただ、自費治療になるため高額治療になります。

喫煙外来

・喫煙は健康に対して、悪影響を及ぼすものです。とくに進行した歯周病では喫煙は喫煙していない人に比べるとおよそ2倍も悪くなると言うリスクファクターです。歯周病が2倍も悪くなると言うことは、相対的にも口臭も2倍近く酷くなると言うことになります。そのため、進行した歯周病と喫煙の組み合わせの口臭は誰でも酷く感じられるものです。(本人以外は)現在、【禁煙外来】という保険での治療を行う大学病院や大きな医療機関が多くあります。とりかえしがつかなくなった場合でも、一度禁煙外来でタバコを卒業するための治療をすることをお勧めいたします。タバコをやめることができればタバコによる口臭も無くすことが出来るだけではなく、歯周病も改善出来るようになり口臭をさらに減少させることが出来ます。

まとめ

・とりかえしがつかなくなった口臭は確かにあります。しかし、そのまま放っておけば、健康被害も尋常ではなくなります。口臭を改善するとともに、現在の生活習慣、食習慣を改善しなければいけません。口臭の原因のほとんどは細菌が生じるものです。この細菌が口腔内のみならず、全身に悪影響を及ぼすことは近年さまざまな研究で報告されています。諦めないで、少しでも改善していく必要があります。たかが口臭と思っていると大変なことになります。気になったらまずは歯科医院や医科で相談し、治療するようにしましょう。

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